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街の外れにある、こじんまりとした一軒家。
白を基調にした家具に、レースのカーテンが風に揺れる。
食堂のテーブルには、彼女の好きなハーブティーが置いてあり、その清々しい匂いが部屋に立ち込めていた。
アスロンは、ハーブティーを片手に、昨晩の出来事について考えていた。
(最近、魔族が結界の周りを徘徊していてるのは気づいていたのですが…。
まさか、あんな上級魔族が現れるなんて。何か一もんちゃくありますわね。)
コクっとハーブティーを飲み込み、後片付けをしようと椅子から立ち上がった時、玄関のドアをノックする者がいた。
「どなた?」
「アスロン=ランツェル殿。国王陛下様の言伝をお伝えに参った。」
「え?」
聞き覚えのある声に反応しドアを少しあけ、その使者の顔をチラっと見るとそこには懐かしい顔があった。
グリーンの短髪に、スラッと高い背。
軍服をまとい、背中には大きな剣を背負っていた。
「アルベルト!!!」
「やぁ、アスロン。元気だった?」
あまりの驚きと、嬉しさにアスロンは彼に抱きついた。
「おっと!相変わらずだね。」
そう言いながら、彼は愛おしそうにアスロンの長い髪の毛を撫でた。
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