魔族

2/3
前へ
/100ページ
次へ
お互い、戦闘態勢に入り、ジリジリと距離を縮めていく。 アスロンは胸の前に手をかざし、ゆっくりと呪文を唱える。 彼女が呪文を口ずさんだあと… 「暗黒の剣」 ブンという音を立てて、アスロンの手に魔族と同じ剣が握られた。 その剣を見て、驚きもせず感心したように彼は言った。 「ほぅ…。ダークソード。」 「おしゃべりしてる暇なんてないですよ?」 たんっ、と地を蹴りアスロンは魔族に斬りつける。 ガキィィィィィン。 「剣術も使えるとは…な。さすがかの名高い”聖魔道士アスロン”。」 辺りには、剣と剣が触れ合う音が響いていた。 アスロンは力を弱める事もなく、魔族に向かって行った。 ぐぐぐっと剣を合わせ、攻防戦が続く。 その時、一瞬ふっと魔族の力が弱まった。 (え……?) 次の瞬間、アスロンの持っている剣が魔族の肩に食い込んだ。 「ぐあぁぁぁああああ!!!」 シュウシュウと斬れた傷口から、黒い瘴気が溢れた。 魔族の周りがその瘴気で埋め尽くされたあと、そこに魔族の姿はなかった。
/100ページ

最初のコメントを投稿しよう!

38人が本棚に入れています
本棚に追加