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お互い、戦闘態勢に入り、ジリジリと距離を縮めていく。
アスロンは胸の前に手をかざし、ゆっくりと呪文を唱える。
彼女が呪文を口ずさんだあと…
「暗黒の剣」
ブンという音を立てて、アスロンの手に魔族と同じ剣が握られた。
その剣を見て、驚きもせず感心したように彼は言った。
「ほぅ…。ダークソード。」
「おしゃべりしてる暇なんてないですよ?」
たんっ、と地を蹴りアスロンは魔族に斬りつける。
ガキィィィィィン。
「剣術も使えるとは…な。さすがかの名高い”聖魔道士アスロン”。」
辺りには、剣と剣が触れ合う音が響いていた。
アスロンは力を弱める事もなく、魔族に向かって行った。
ぐぐぐっと剣を合わせ、攻防戦が続く。
その時、一瞬ふっと魔族の力が弱まった。
(え……?)
次の瞬間、アスロンの持っている剣が魔族の肩に食い込んだ。
「ぐあぁぁぁああああ!!!」
シュウシュウと斬れた傷口から、黒い瘴気が溢れた。
魔族の周りがその瘴気で埋め尽くされたあと、そこに魔族の姿はなかった。
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