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「おはようっ、アッキー」
正面玄関を抜けた途端に聞こえてきたのは、愛羅の声。
フリルの付いた夏らしいスカートを身に付けた彼女は、嬉しそうに近付いてきた。
「あ、アネゴさんもおはようございますっ」
「おはよう」
――まるで付け足し。明らかに明彦しか目に入ってなかったろうに。
彼女が派遣されて3日目の朝となるが、すっかり会社にも溶け込み、世渡り上手の名を欲しいものにしている。
(羨ましい)
決して自分は、世渡りではない…。上手い具合に交わしているだけだ。
奈央子は気付かれないよう、息を吐いた。
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