第二十五章~元カノ~

14/23
前へ
/438ページ
次へ
「おはようっ、アッキー」 正面玄関を抜けた途端に聞こえてきたのは、愛羅の声。 フリルの付いた夏らしいスカートを身に付けた彼女は、嬉しそうに近付いてきた。 「あ、アネゴさんもおはようございますっ」 「おはよう」 ――まるで付け足し。明らかに明彦しか目に入ってなかったろうに。 彼女が派遣されて3日目の朝となるが、すっかり会社にも溶け込み、世渡り上手の名を欲しいものにしている。 (羨ましい) 決して自分は、世渡りではない…。上手い具合に交わしているだけだ。 奈央子は気付かれないよう、息を吐いた。
/438ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1245人が本棚に入れています
本棚に追加