その笑顔が綺麗で、僕は

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今日は浄化しに行く日 緋直は望美と色違いの水干と陣羽織を羽織り、剣を持った 「よし、行こう望美!」 腕と足や首に巻かれた包帯が痛々しくて、望美は緋直を抱き締める 「無理、しなくていいんだよ?」 緋直はその優しさにふと笑みながら抱き締め返し離れると歩き始めた 「私は、負けない」 庭へと向かい、八葉の一部が緋直を睨む その視線を気にしないまま魅春を見れば技とらしい震え方 「私が嫌いですか?」 「当たり前じゃないか、緋直」 「譲はいつもそうだね、一筋でその気持ちに傷付く人だっている」 手を出そうとする八葉の一部達に望美、朔、白龍は私の前に立った 「先輩なんで!」 「譲君は何にも見てない、現代で緋直は譲君を傷付けた?」 譲はグッと押し黙ると、リズは緋直の方へ向かって行く 「…魅春…皆、すまない緋直がそんな事をするとは思えないのだ」 緋直は驚いた表情を浮かべるも目を伏せて告げる 「行きましょう、言い合うなら浄化してでも遅くはないハズです」 不服そうな表情を浮かべる八葉もいたけど、浄化には変えられないと言わんばかりに外へ出て怨霊を切り伏せた 「滝夜叉!?まさか、水辺にしか出ないハズだよ!」 望美は驚いた声を漏らす、滝夜叉は九郎を狙い攻撃を仕掛けて 避けきれないと判断したのか目を伏せてしまった 痛みは、ない 目を開けば緋直が九郎の前に立ちはだかり、口から赤い雫を出して 胸の辺りの着物は赤が大量に滲む そして体を支える力は無くなり、地へと倒れた 「ゴホッ…ガッハ…早…く…浄化…しな…きゃ」 望美は直ぐ様駆け寄り、今の緋直が足りない分の力を分けて浄化していく もう、息は絶え絶えで だけど緋直は手を伸ばして途切れ途切れに告げる   微笑みを浮かばせて 「み…な、ごめ…んね?」 痛いハズだ、大量に流れる赤い雫 量から考えると寒いだろう 弁慶は焦った様に手当てを始めた、望美は緋直の体を支える 間に合うか分からないけど あんな綺麗に笑う人が人を小刀で傷付ける訳はない 早く、早く助けなければ その一心で手当てを続ける 八葉は信じられない目の前で起こった事に 動揺を隠せないまま立ち尽くしていた 続く
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