シャボン玉

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あ、起き上がれない どうしたんだろう、体に電気が流れたみたい そして望美と朔の足音が聞こえてくる 「っ…緋直!?」 「朔!弁慶さん呼んできて」 「でも、弁慶殿は」 「いいから、お願い」 「分かったわ…」 どうしたの、かな 瞳も開かなくてわからないの 望美は涙声で呟き、緋直の傷口をなぞる 「っ…痛かった…?傷口が、紫で…切傷まで…」 緋直は重く感じる腕を伸ばして、望美の涙を拭う 「泣かな…いで…」 その内に弁慶さんが溜め息を漏らしながら近付いてくる足音が近付いて来た 震える身体、大丈夫だと思うのに止まらない 「君なんかの手当をしなきゃならないなん……!?」 乾いた音が、部屋に響く 望美は先程の涙声ではなく、声色を低めて言葉を投げた 「最低…、何が熊野の男よ真実も見れないなら男も無い!黙って傷を手当出来ないの?貴方の目の前にいるのは、震えて心が叫んでいる一人の女の子」 弁慶はフフッと笑って、緋直の首に手を掛けて締めていく 「君は、何れだけ奪うのですか?」 「っ…は…!」 ごめんなさい、私がいなければ こんな事も無かった 「ごめ…んな…さい…私…が…いなければ」 緋直の掠れた声、届いて欲しい もう、このまま消して構わないから 「ご…めん…なさ…い」 ふと緋直は瞳を開き、微笑を滲ませながら腫れた瞳から雫を溢した その後は何も言わず手当をして弁慶さんは帰る 何故、あの人は泣いた? 本当に泣きたいのは魅春さんなのに 緋直の笑いながら泣く顔が、忘れられなくて 掻き消すように外へ向かった 続く
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