静寂の比叡山

6/7
前へ
/487ページ
次へ
風呂上がり、髪も乾かせないまま、最後の読経の時間だ。 せっかくあったまった身体の熱がまた、奪われていく… やっと終わり、就寝の時間。 もちろんの様に自分達で布団を引かされた。 疲れた。 しゃべれない事がこんなに辛いとは… 「あと、二日…」 そう小さく呟いた… 布団が温かい。 知らぬ間に眠っていた… ~朝5:00~ 『カーン!カーン!カーン!』 甲高い鐘の音が鳴り響く。 起床の時間だ。 こんな時間に起きるとか慣れて無い奴ばかりだ。 布団を寝坊眼で片付けて、顔を洗う。 異様に冷たい水… 一気に目が覚めた。 5:30から掃除もさせられた。 雑巾がけが辛い。 掃除が終わると朝の読経。 7:00までやってご飯だ。 寝るのと、食べる事だけが唯一の楽しみになってきた。 ご飯が終わると、外に出された。 散歩するらしい。 無言で…。 40人の集団が無言で獣道のような中をひたすら歩く光景は異様だ。 戻って来たら、夜までご飯以外は座禅と読経の繰り返し。 まさに修行僧。 ここまでされたら、さすがに馴れてきた。 般若心経も何も見ずに言える様になってた。
/487ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2700人が本棚に入れています
本棚に追加