あとがき

3/4
2人が本棚に入れています
本棚に追加
/10ページ
 僕はけっこうおじいちゃん子で、休みの日はよく釣りに連れて行ってもらってました。   ある日学校から帰ってくると、玄関に靴がいっぱいあって、何があったんだろうと戸惑っていると、母が泣きながら「おじいちゃんが死んじゃったよ」と言ってきました。その言葉を聞いた時は、よくわかりませんでした。悲しいハズなのに、冷たくなって横たわっているおじいちゃんを見ても、何故か涙はでませんでした。多分、身体は理解していても、頭が理解できなかったんだと思います。   そして、おじいちゃんのお葬式が終わって、火葬を済ました後、家に帰って、誰もいないおじいちゃんの部屋に行った時、急に涙が次から次へと溢れだしてきました。もうこの部屋の主人はいないんだ、僕に釣りを連れて行ってくれたおじいちゃんはいないんだと。   それからしばらく、僕は物凄く落ち込んで、学校にも行かずに、ご飯の時以外、ずっとおじいちゃんの部屋で過ごしました(もちろん寝るときも)。   ある日、そんな僕を見かねた母が、僕に言いました。「おじいちゃんね、死んじゃう前に何て言ったと思う?おじいちゃん、意識がないハズなのに、あなたの名前を呼んだのよ。「ハンゲツ(名前は出せないので)、元気でなぁ」って言ったのよ」。母にはそう言って、静かに涙を流しながら、僕を抱き寄せました。   その日のことは、三年経った今でもしっかりと覚えています。僕はその日から、またちゃんと学校に通うようになりました。おじいちゃんの言った言葉を、大事に胸の奥にしまって………。
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!