白く明るい牢獄で少女は眠る

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それは乾いても湿ってもいない手だった。 温かくも冷たくも無い手だった。 いつの間にかこんなに僕の肌にしっくり馴染み、握っていることすら忘れさせる手。 僕はうろたえながら、彼女の手を引いて目指した。 白い大きな建物。 病院を。 そこに連れて行くことが、組織では無い僕にできる唯一のことだから。
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