中学

2/5
5人が本棚に入れています
本棚に追加
/61ページ
「おはよう!昨日ありがとな!」 …………。 別に返事はいらない。 挨拶は俺に向けられたものではないから。 別の誰かが、別の誰かに向けたもの。俺にではない。 今は中学2年。夏になり、部活では3年生が引退して2年が先輩の夢を継いだ時期だ。 「オス!相変わらずおっそいなお前は~」 ………。 そんな言葉を耳に、急ぐ訳でもなく、ゆったり歩いていく。 「コラ。無視するなってーの」 …………。 ……俺? 「お前以外に誰がいるってんだよ?目は覚めてるか?」 なんだ。クラスメイトが話しかけてきたんだ。俺以外の"誰か"に話をしたんだと思った。 「おはよ。元気みたいだな中島」 「まーな。口うるさい先輩がいなくなったんだ。そりゃ元気くらい出るさ」 そういえばコイツはバスケ部だったな。運動部は気合いも入るだろう。 「おい、予鈴なっちまうぞ?早く教室いこうぜ!」 …………。 ………、 別に遅刻したからって、何かあるワケじゃないだろ 「あん?なんかいった?」 「いや、なんでもない。急ごうか」 別に義務教育だからとか、そんなことじゃない。 ただ、くだらない。 何が? 毎日が。 同じコトをして、同じコトの繰り返し。 だから、無意味なんだよ。なにもかも。 教室に入り、自分の席に着くと同時に先生が入ってくる。 HRが始まる。 ずっとなにもない、教室の壁を見ている。 ふと気がつくと、担当の先生が教壇にきていて、1限の英語が始まろうとしていた。 机の中から英語の教材を慌てて出そうとする俺を見た背後の男子が、 「お前さ、目ぇ開いてるか!?」などと聞いてきた。 嘲笑が漏れる。 くだらねぇ。 開いてねーよ目なんか。だから何だ?何かあんたに迷惑かけたかよ? イチイチ五月蝿いんだよどいつもこいつも。 教科書出すのが遅れたくらいでなんだっていうんだよ。 とりあえず無視しながら教材を出す。 それと同時に、 「GOOD MORNING EVERYONE!」 授業が始まった。 現在の俺は、中島のように運動部でバレーボール部に所属している。冷めてさえいるが、部活をサボったりはしていない。普通に出席している。 成績は中の下。 それこそ、社会に出てから中学での勉強が必要になるワケないと考えているし、頭が悪くても体を動かして飯を食ってる人もいるから、将来のコトは何も心配していない。 ただ、悟ったんだ。 全部、上辺だけの世の中だってコトを
/61ページ

最初のコメントを投稿しよう!