5人が本棚に入れています
本棚に追加
そう。今は部活に必死なだけ。
一緒に動いてる、頑張って練習してる"仲間"と次へ、一歩踏み出そうと頑張っていたんだ。
だけど、それが皆の一つの"目標"と、信じていたのは俺だけだったんだ。
夏が過ぎ、寒い冬が来て、春がきて、そして俺達が3年になる
冬の大会は見事に2回戦で敗退。
別に俺も遊んでいたワケじゃない。
ほんのたまにはバレーボール持って、壁にスパイク打って練習していたさ。
その時の身長・164センチ。
1年経っても全然変わっていない。周りの、小学校から一緒だった奴はもっと大きくなっている。
さすがに悔しい。昔同じくらいの身長だった奴に見下ろさせるのは。
でも牛乳飲んでも繊維質の食べ物を摂取しても、全く背は伸びなかった。
迎えた夏の大会
2 回 戦 敗 退
そう、結果は何も残らなかった。
敗因はレギュラーの、多いサーブミス。
そうだよ。全員のミスなんだ。
仕方ない、と皆が思っている。そう考えていた。
だけど、一部のレギュラーは違う考えだったんだ。
体育館の裏側にあるトイレから戻る時、曲がり角の反対から"仲間"の声が聞こえた。
"あいつ"があの時レシーブ失敗したから負けた
"あいつ"があの大事な場面でサーブミスしたから負けた
"あいつ"の身長がもう少し高ければあの時スパイクが決まった
全ての"あいつ"には俺の名前が入る。
………そうかよ
自分には非がないとでも思って皆でたった「ヒトリ」を攻撃かよ
そんなつまらねー奴らと、俺は遊んだり、飯食ったり、絡んでたってのかよ
やっぱりお前達も俺の中では「その他大勢」でしか、ないんだな
ちょっとでも、友達以上の「ツレ」と思ってた俺が阿呆みたいじゃねーかよ
そのままだ。結局は3学期まで、お互い大した言葉を交わすこともなく時を過ごしていった。
唯一、全然違うクラスの野球部員とは仲が良かった。その時は、そいつだけが「ツレ」と呼べたのだろうか。
やはり絡んでくれる「友達」がほしかっただけかもしれないけど。
引退試合からすでに半年、164センチしかなかった身長は、今では171センチ。
神様がいるとすれば、
そんな仲間だったんだよってコトを気付かせてくれるために、俺の身長が伸びるのを止めてくれていたのかもしれない。
今なら、そう、思う。
そんなくだらないことを思いながら、俺は4月から、高校に通い始める
最初のコメントを投稿しよう!