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私が主人の病室を訪ねるとナースの千絵が飛び出して来た。
「先輩!ご、ごめんなさい。私仕事ありますから!」
涙たっぷり浮かべた彼女はさっさと消えていった。
きっと主人に別れを告げられたのだろう…。当然と言えば当然だ。彼女の匂いがつけばまたリキに襲われてしまうもの。
私は素知らぬふりで主人に話かけた
「本当にごめんなさい。リキったら…あなたには慣れたはずなのに…」
「まったく、なんて狂暴な犬だ!危うく死にかけたんだぞ!」
主人は自分の悪さを棚に上げてリキを攻め立てた
「本当ねぇ…でも、なぜ首なのかしら…?足元にいた時はなんでもなかったのに。首に何かついてたのかしらねぇ?」
私が意地悪く言うと主人は顔色を変えた
「さ、さあ?まぁ犬だって、たまには間違えるさ、仕方ないだろう?」
「じゃあリキは今まで通り飼ってもいい?」
主人はうっと顔をしかめたが、うんと言わざるをえなかった。
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