真実

3/3
3人が本棚に入れています
本棚に追加
/10ページ
私が主人の病室を訪ねるとナースの千絵が飛び出して来た。 「先輩!ご、ごめんなさい。私仕事ありますから!」 涙たっぷり浮かべた彼女はさっさと消えていった。 きっと主人に別れを告げられたのだろう…。当然と言えば当然だ。彼女の匂いがつけばまたリキに襲われてしまうもの。 私は素知らぬふりで主人に話かけた 「本当にごめんなさい。リキったら…あなたには慣れたはずなのに…」 「まったく、なんて狂暴な犬だ!危うく死にかけたんだぞ!」 主人は自分の悪さを棚に上げてリキを攻め立てた 「本当ねぇ…でも、なぜ首なのかしら…?足元にいた時はなんでもなかったのに。首に何かついてたのかしらねぇ?」 私が意地悪く言うと主人は顔色を変えた 「さ、さあ?まぁ犬だって、たまには間違えるさ、仕方ないだろう?」 「じゃあリキは今まで通り飼ってもいい?」 主人はうっと顔をしかめたが、うんと言わざるをえなかった。
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!