Funeral

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   両親を火事で喪って、家も、家族もなくしてしまった私を、デニーは親身になって元気付けてくれたのに。 「どうして死んじゃったの、デニー…」  彼女の事故もまた突然で。  家をなくした私を、一緒にフラット(アパート)に住ませてくれて、また後でセンターで会おうねって微笑んで、出掛けていった矢先だった。 「私、また一人になっちゃうよ…」  パパとママをなくしたばかりなのに。  本当にお姉さんみたいに大好きだったのに。  涙が止まらない私の肩を、セイがそっと抱き寄せた。 「ユキナには、俺がいる…」  囁く声が、びっくりする程近くにあって。  肩に添えられた手を、今自分が置かれている状況を把握して。  私の心臓はどきん、と跳ね上がった。  一瞬、涙さえ引っ込んでしまう勢いで――。 「いつも隣にいられはしないが、お前には俺がいる。忘れるな」 「セイ…」  悲しみ以外の理由も含めて、目頭が熱くなった。  お葬式の後、皆が帰ったデニーの墓標の前で、私はセイの優しさに甘えてしまった。  
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