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「――で?」
介護センターで働くティムは、胡乱そうに促した。
「で、って言われても…」
「その後、何かあったんじゃないだろうね」
「なかったよ、何も」
「じゃあ彼は、君を部屋まで送って、荷物を返して、それからすぐに帰ったってこと?」
何なんだろう、この尋問じみた会話は…。
「すぐに帰ったって訳じゃないけど…」
そう口ごもると、ほら。
「じゃあ彼はどうしたんだ?」
すぐに喰らいつく。
ティムは私を介護センターに誘ってくれた、優しいお兄さんだった。
でも何故か、セイのことを警戒しているみたいで。
学校が終わって、いつも通りセンターに来た私は、すぐに捕まった。
最初はただ、大丈夫だったか、って訊かれたくらいだったけれど、セイと一緒にいたと知られた途端…。
セイは悪い人じゃないって、何度も言っているのに。
「どうって…部屋にいて、私が眠るまでいてくれたみたい。朝起きたら、もういなかっ――」
「君はあの男の目の前で、無防備に寝たのか!?」
ティムは信じられない、と首を振った。
「だって、何もしないって約束してくれたから…」
「ユキナ、君は世間知らずだよ。そんな言葉、信用できる訳ないじゃないか」
「でも本当に何もなかったよ」
「当たり前だよ。何かあったらそれこそ一大事になってる」
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