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ああもう、とティムは溜息を吐いた。
「ティム。そんなに心配しなくても大丈夫だってば」
「大丈夫じゃないから心配してるんだ」
でも、現に今まで、本当に大丈夫だったし…。
むしろ私は、セイに何度も救われた。
彼は、悲しいことがある度に現れて、いつも慰めてくれた。
「わかってるのは名前だけ。どこから来たかも職業も、正確な年齢さえわかってない奴なんか信用するな。どうせそう言うんでしょ? 耳にたこができるよ」
「ミミニ…?」
「日本のことわざ」
ティムはセイを誤解している。
確かに彼は、黒尽くめだし、夏でも手袋を外さずにいるし、あまり普通の人とは言えない。
でも、セイは優しい。
いつだって、私に優しく接してくれる。
昨日だって、私がデニーと二人で過ごしていたフラットで、たった一人で眠らなければならない寂しさを癒してくれたんだから。
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