Bloody One

5/8
前へ
/28ページ
次へ
  「駄目だよ。二人がここで悪口言い合うなら、私だって黙っていられない」  ティムは面倒そうに首を振った。 「こんな、変な手袋着けた奴となんか付き合うなよ」  その時、微かにセイが反応したのがわかった。  それよりもティムに反論することを考えていた私が、何か言うより先に。 「お前、何を知っている…?」  セイが、攻撃的な口調で、訊いた。  ティムは答えなかった。不機嫌な顔で、仁王立ち。  声をかけがたい睨み合い。  どうしようか戸惑っていると、セイが黒革の手袋をはずした。 「……!!」  ティムは目に見えて狼狽えた。 「ティム…?」  いきなり、私の手を掴んで引っ張る。  セイと私の間にティムが割り込む形になった。 「知っているようだな」  セイが、低い声で呟いた。  
/28ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8人が本棚に入れています
本棚に追加