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「何をするつもりだ」
ティムの声が、緊張で硬くなっていた。
「何もせずに終わることを祈ろう。……ミスター・エイバー、一体誰から“これ”を聞いた?」
剣呑な目で、セイはティムを睨み付ける。
たじろいだティムが少し後退って、私にぶつかって止まった。
「答えろ、ミスター・エイバー」
「…“グレートマザー”。彼女はそう呼ばれていた」
セイが息を呑んだ。
「馬鹿な。どうやって彼女と会った?」
「ミスター・セイ。これ以上は話せない」
「…そうだろうな」
小さく、セイが舌打ちした。
ティムは畳み掛けるように訴える。
「わかったら帰ってくれ、ミスター・セイ。今すぐに、ママの言い付け通りその忌々しい手袋をはめ直してな」
「図に乗るな、ティム・エイバー」
挑発的なティムに威嚇するように言いながら、セイは手袋をはめ直す。
そうして、和らげた視線を私に向けた。
「すまない、ユキナ。急用ができてしまった」
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