出会い

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大きなあくびを一つ。 イヌは眠気と闘っていた。 さっきからあくびが止まらないのだ。 それもそのはずである。 辺りを見渡せば・・・、どこを見ても書物の山なのだ。 「アニキ~、いつまでこんなとこにいるんですか?」 たまらずに一言。 カゼからの答えはなかった。 カゼは脇目もふらずに書物を読みふけっていたからだ。 ここはハラスの王立図書館である。 テラス王国の第一首都ハラスは、初代テラス王ハラス=ウインドの名をいただいている。 そして、智将として名を馳せたハラスの遺産ともいうべき書物の数々は、大陸でも随一の規模を誇る王立図書館に保管されていた。 カゼはこのところ毎日のように王立図書館に忍びこんでは、書物を読みあさっていた。 (・・・眠い。) しかし、眠ってはいけない。 イヌは毎日のように眠り込んでしまって、カゼに置いて帰られていた。
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