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そんなイヌの目を覚ますように、正午の鐘が鳴り響く。
この世界では都市ごとに置かれている大教会の鐘によって、人々は時間を知らされている。
とたんに辺りが騒がしくなった。
今日は月に一度の公開処刑の日だった。
カゼの重い腰が上がる。
「行くぞ。」
カゼは短く言うと、さっさと図書館を出ていった。
イヌも慌てて後を追った。
「また公開処刑だってよ。」
「おいおい、今度は小さな女の子だぜ。」
「やだ、まだあんなに小さいのに…。」
「なんでも王様の悪口を口にしたのを城兵に聞かれたそうよ。」
群衆の声。
かつてはひだまりの国といわれたこのテラス王国も今はその光を失っている。
国が荒廃しているのだ。
テラス王国は初代ハラス王、二代目ダラス王と善政が続き、その国力を一気に増していった。
その荒廃の原因は、三代目であるモルス=ウインド、つまり現国王にあった。
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