2/6
前へ
/15ページ
次へ
彼が眠りから醒めたのは、自分の実家のある隣の駅のことだった。 そして、醒ましたのは震えている携帯電話。 家からの着信だった。 「…もしもし?」 「あぁ起きてた?」 「おかんか?今、土浦。もう着くよ」 「あんた大学は?」 「ハナ、ヤバいんっしょ?だから休んだに決まってんじゃん」 「そう…だけど、ハナね… 今、死んじゃった」 一瞬、ほんとに一瞬だけ、時間が止まった。 朝7時にもなると、人は少しだが、電車に乗っている。 しかし、電車の音も、人々の会話もなくなった。 「…嘘だろ?」 時間が動き出して初めての言葉はそれだった。
/15ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8人が本棚に入れています
本棚に追加