夏のはじまり。

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匠「まったく…」 学校に向かう前、妹のせいで遅れて家を出る。 小奈美「ははは……」 匠「笑うなって」 夏美「沙奈ちゃんのおかげで、毎日楽しいよ」 確かに、それは認めよう。 妹と仲良くしてくれるのは兄としてもうれしい。 だが、そのせいで遅刻することもある。 匠「……はぁ、苦労するねお兄ちゃんは…」 夏美「そんな事言って、ほんとうは嬉しいんだよねぇ?」 匠「さてね」 夏美「ぁ、ごまかした」 おいおい、少しは気苦労を感じてくれないものか……。 話しをしながら、歩いて行くと、いつもどうり途中で友達と一緒に学校へむかう。 治「おはようお二人さん。」 友達の治だ。ぱっと見、カッコイイのだが…しゃべるとボロがでる、 信乃「おっそーい!遅刻すんでしょうが!」 こいつは…昔からの女友達で…まあ、腐れ縁ってやつだ。 匠「俺のせいじゃないって!」 信乃「何よ、責任逃れ?夏美が遅れるはずないでしょ」 夏美「行きがけにね、たっくんがお茶こぼしちゃって……」 信乃「ほらごらんなさい、あ・ん・たが悪い!」 匠「うるさい、そんな事言ってると本当に遅刻するぞ?」 治「真相はどうなの、夏美ちゃん?」 夏美「違うよ。沙奈ちゃんが不意打ち的に現れたから、たっくん驚いて……」 匠「だから俺ば無実」 信乃「どうかしらね~?」 こいつは…。 夏美「信乃、遅刻しちゃうよ?」 匠「あーもう、お前ら、置いてくからな?」 夏美「あっ待ってー!」 信乃「はくじょー者ぉ!」 キーンコーンカーンコーン、チャイムが鳴る。 匠「はぁ……なんとか間に合った…」 信乃「ふぅー……何で朝から全力疾走しなくちゃいけないのかしら~」 治「さ、さあね……はぁはぁ」 匠「な、情けないな、息あがってるぞ…?」 治「お、お前だって、机から頭離せよ……」 信乃「だらしない…」 夏美「ふぅーふぅー……」 匠「大丈夫か夏美?」 おそらく1番堪えたのは夏美だろう。 運動苦手で走るのも遅い。 途中から信乃に無理矢理引きずられてたし……、悪い事したなぁ。 夏美「う、うん……はぁ~もう大丈夫だよ」 少し照れたように笑う。 「ガラガラ」 匠「お、先生きたか?」 予想どうり先生が教室に入ってきた。
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