一 -携帯-

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車の騒音がうるさい。 この通りはいつも車が多くて嫌だな。 新しい道が出来ても、車の数も増え続けているしいずれは同じようになるのだろう。 それに伴い排気ガスが出てこの星はどんどん薄汚れていく。 ここから二十光年先にはこの星、地球と似た環境の星があると聞いたことがあるが、そこでも今のオレと同じようなことを考えてるヤツがいたりするのだろうか。 そんな馬鹿げたことを考えていると 懐かしくも感じるこの音が流れる。 ジリリリリンッ! ジリリリリンッ! 「っえ?俺のか!?」 お気に入りの着歌が流れるハズの携帯から、予想だにしない黒電話のメロディーで呼び出された。 この男は、神山龍規(カミヤマタツキ) 部活帰りの高校生だ。 龍規はその電話に出た。 「龍規だけど?」 「おぉ、たっつー!面白いだろ?」 たっつーと言うのは、龍規のニックネームだ。 と言っても呼ぶ者は少なくむしろタツというニックネームで呼ばれる事の方が多い。 「お前か!ヒデ」 「ピンポーンッ!黒電話!!いいだろ?」 はぁ 思わずため息が出る。 こいつの行動はまるで読めない。 オマケに意味も無いことばかりときた。 「で、何の用だ?」 「おっ、そうそう。今日マッケ行かないか?」 「今からか?」 マッケとは全国に展開するハンバーガーショップの略称で 龍規達も良くたまっている。 「待ってるぞー」 そこまで言って電話は切られた。 「今からかよ…」 帰宅途中の龍規はしぶしぶと自転車をターンさせて 今来た道を逆戻りし始めた。
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