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再会
直人は親方の屋敷の離れに戻った。
時は三日たっていた。
同じ日には戻れないルールだ。
直人は屋敷に向かった。
『親方様。直人です。早速商品を持って来ました』
『そうかそうか。ご苦労じゃった。入れ入れ』
『失礼します。おや、どなたですか?』
『わしのめかけじゃ。めんこいだろ。どうしても直人の魔法が見たいとついてきた。かまわんじゃろ?』
『かまいませんよ。めんこいですね』
美的感覚が分からなかった。
時代劇に出てくる女優と違い、身長は140㎝くらいしかない。年も中学生くらいだろう。足も太く、顔も目が一重で細い。
親方は50歳くらいに見える。
ただの淫行おやじだ。
『こちらでございます』
『おーよく短時間で集めたな。直人が一週間と言ったので、小判がまだ揃っておらぬ。あと二日待ってもらえぬか』
やっぱり。払わずに殺す気なのか。それとも本心か。
『わかりました。二日待ちましょう。その代わりあの離れを私に下さい。これから来る度に自分の部屋にしたいのです』
親方は快く了解した。
そして明日は上野の町に出ようと誘った。
伊賀上野は京都、大阪と伊勢を結ぶ要所で宿場町だった。
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