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直人の後ろ5mほどの場所に三人が潜んでいた。
全く気付かなかった。
恐ろしい奴らだ。スタンガン一つではすぐ殺されるだろう。こうなったら、半蔵に信頼され守って貰うしかないと思った。
一人の忍者を呼んだ。
『ヤシカ。一里ほど走ってまいれ』
『ちょっと待って下さい。話す時は、このボタンを押しながら話し、聞く時は耳に付けて下さい』
『ボタンとは何だ』
『この動く出っ張りです』
『よし行け』
ヤシカと呼ばれる忍者は走り出した。速い。
目の前で見るナンバ走りに関心する。
あっという間だった。息も切らさずにトランシーバーから声が聞こえた。
『シャー、ヤシカでござる。シャー届いておるのか』
『聞こえておる。おぬしはどこにいる』
『山田村でござる』
『すぐ帰ってこい』
びっくりしている。
完全に信じたようだ。
『ついてまいれ』
忍者は歩き出した。
他の者は山に消えた。
迷路のような山の中を一時間も歩き、へとへとになったとき、目の前にお寺のような屋敷が現れた。
『親方、不思議な商人を連れてまいりました。お目通し願います』
『参れ』
地響きのような低く太い声だった。
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