忍者

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親方と呼ばれる服部半蔵は仮面を付けていた。 木の仮面は余計に恐怖心を煽った。 歌舞伎のような真っ白な髪を付けている。 さっきの忍者は耳打ちしながら、先ほどの出来事を報告している。 『オヌシ名は何と申す』 『後藤直人と申します』 『後藤というと武士の子か』 『先祖は武士かも知れませんが今は商人です』 『おかしなことを申す。なぜ武士が下級の商人になるのじゃ』 『私は400年先の世から魔術で今に来ました。先の世には身分はなく、武士はいないのです』 『なに。武士は滅びるというのか。無礼な』 『そうではありません。武士はもっと繁栄し、軍隊や警察という名前に変わりました。先の世でも一番立派な仕事です』 そんな話しをたくさんした。電気のない時代、暗くなりはじめ、ロウソクの炎に照らされて親方は一層不気味に見えた。 本題に入った。 『オヌシの伝書鳩を説明してくれ』 『これはトランシーバーと言います。このボタンを押しながら話し、そのまま耳に付ければ聞こえます』 『ボタンとは何だ』 『この動く出っ張りです』 忍者と親方は互いに離れて話し始めた。
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