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『はっはっは。これはすごい。これがあればいつでも話ができる。これをいくらで売りたいのじゃ』
『値段は決めておりません。半蔵殿、いや親方様が決めてください』
半蔵は10両でどうかと言った。一両小判は平成の骨董屋で一枚30万はする。
10両なら300万の価値だ。
直人は言った。
『親方様に任せるといいました。それで良いです』
『本当によいのか』
『はい』
『気に入った。商人というのは高くふっかけ、値切れば値を下げ交渉する。実は50両の価値はあると思った。オヌシと長く取引しよう』
『親方様、ありがとうございます。長いお付き合いの為にお顔を拝見できませんか』
しばらく考えたが、親方は黙って仮面を取った。
予想に反してやさしい顔だった。
しかし、顔には無数の深い傷痕があった。
長い闘いの歴史を物語っていた。
『他にはないのか』
『あります』
直人はベンライトを取り出した。
親方はまたびっくりした。棒を回すだけで、強い光りが発し、部屋の隅々まで見える。
『先ほどのトランシバとその光り棒をたくさん揃えられるか』
『では、トランシーバーを10台と光り棒を100本でどうでしょう』
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