仕入れ

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直人は現代に帰ることにした。 時空の移動は同じ場所に現れる。 親方の屋敷の寝室はどこにあるのか全く見当がつかなかった。 戦国時代に来るときは、伊賀の忍者屋敷の駐車場から行った。しかし、山の中を一時間も歩いた先だ。 もし、高速道路の上にでも戻ったら、一瞬でペシャンコになるかもしれないし、女子高のトイレにでも戻ったら、変質者として捕まるだろう。 直人は覚悟を決め、儀式に入った。 鼻をつまみ、うーんと息を止め、りきむ。顔が真っ赤になり、意識が遠退く。 頭には行きたい年月日を強く念じる。 だんだん意識が薄らぐ。 直人は意識をなくした。 気がつくと、お寺の境内にいた。良かった。ここなら怪しまれない。 直人が泊まっていた離れはなくなり、親方のいた屋敷はそのままお寺になっていたのだ。 慌ててタクシーを拾い、駅に向かう。 『近鉄名張駅まで』 名張から伊勢中川を経由し、名古屋駅に向かう。 名古屋から地下鉄で大須に着いた。 大須は名古屋の秋葉原だ。 まず金券ショップに行く。 『すいません。昔の小判を買って欲しいんですが』 店員は奥に入り中々出て来ない。
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