仕入れ

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店員が出てきた。 『どう調べても本物なんですが、綺麗すぎるんです。今、作ったみたいなんです』 今、作ったのだ。 戦国時代の今。 『実は未開封の千両箱みたいな箱に油をしっかり染み込ませた布に包まれて保管してあったんです。未使用のこんな綺麗な小判は二度と手に入らないですよ。高く買ってくれたら、たくさん持って来ますよ』 また店員は奥に入った。 社長らしき人が奥から出てきた。 『今回は40万でどうでしょう。その代わり後の小判も是非うちに持って来て下さい』 大成功だ。6000万が8000万に跳ね上がる。 これだから戦国営業マンはやめられない。 直人は跳びはねたいくらいの嬉しさが込み上げた。 電気街に行き商品を捜す。 買う物は決まっているはずだが、直人は違う物を探している。 『もし、頼まれた商品を渡してしまえば、お金をもらえず殺されるかも知れない。また魅力的な次の商品を見せなければ』 直人は最悪を考え最善の努力をした。 何がいいんだ。 トランシーバーとペンライトという最良の商品を真っ先に渡した直人は、次の商品を悩んでいた。
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