最愛の人

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亡くなる前日に弟は母に「僕は絶対に死なないよ」と言ったらしい。 亡くなる日弟がヤクルトを朝飲みたいと言った。病院の売店が開くまで待ってと言ったが待てないと言うので父がコンビニにヤクルトを買いに向かった。 その頃私はナースステーションで看護士さんたちと話をしていた。 嫌な予感はしていた。だから家族から離れた。 しかし。様態は急変し1人の看護士さんに呼ばれ慌てて病室に行った。母が泣いていた。弟のベッドの周りを囲んでいて…ゆっくりとした足取りで近づけば父がヤクルトを持って帰ってきた。 私は弟の手を握りただ泣いていた。 父もただ泣いてる私の頭を撫でていた。 そして弟は… みんなに看取られまるで眠るように静かに亡くなった―― 弟6才 私9才 別れと出会いの季節に静かに天国へ向かった。
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