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俺は人身事故で有名なC央線を利用して通勤している。
先週も飛び込み自殺があった、俺の使っている駅でだ。
今日、いつもよりちょっと早く起きた俺はホームにたたずんでなにげなく反対側のホームを見ていた。
まだ電車の本数も少なく、向こうは下りホームだけあって人もまばらだった。
「○○線に××方面行き下り電車が参ります」
電車のアナウンスだ。
ふとホームを見ると俺の正面に女性が立っている。
25歳くらいのいたって普通の女性だ。
だが何かが変だ…
何だ…?
女性の顔が恐怖にこわばっている。
しかも、下りの電車がホームに入ってくるにつれ、何かに引きずられる様に一歩一歩ホームの端に近づいてくる。
俺はその光景を間近で目の当たりにし、恐怖のために唇一つ動かす事ができなかった。
鋭い金属音と悲鳴が響き渡り、電車は止まった。
俺の目の前に大量の血とピンクの肉片が広く飛び散っていた。
あまりにグロテスクなものを見てしまい吐き気をもよおしそうになりながらも、
そろそろ会社に行かないといけない俺は急いで振り替えのバスに乗るためホームを立ち去った。
あの違和感はなんだったのかバスの中で考える。
どうしても分からない。
バスは新宿に近づき、高層ビルの間をくぐりはじめた。
太陽の光が高層ビルのガラスで乱反射してとても眩しい。
「眩しいな…、眩しい…そうか!」
俺はおもわず大声を出してしまった。
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