君と出会った日

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手前で受付を済ませる両親を横目に、私の足は一直線に大きなゲージへと向かっていました。  ゲージは二種類あって片方は小型犬の仔犬、もう片方は大型犬の仔犬が入っています。 2メートル四方位の大きさのゲージを、ぐるりと囲うように大勢の人が覗きこんでいました。     どちらも中には10匹位の仔犬達がいて、すでに外見のいい仔犬達は次々と里親が決まっていきます。 私が“どの仔犬にしようかな?” と思いながらみていると 人懐っこくゲージ越しの人間にすりよる犬や、人見知りをして真ん中辺りでソワソワしている犬、犬仲間同士じゃれあっている犬達などいろんな性格の仔犬達がいるようです。   そんな時、私のちょうど反対側で仔犬を抱こうとしたどこかの父親がいました。    「ーーキャンッーー……」  小さな悲鳴に集まる視線。 だけどおじさんは決して乱暴に抱いた訳じゃないし、横で覗き込んでいる娘らしき女の子も不思議そうな顔をしています。
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