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しばらく走ると少し古い建物が見えてきた。
「中学校だねぇ。」
「私の通ってた学校です。」
私はお婆さんも見ずに答えた。
失恋したし、喧嘩もした。
楽しいことも、悲しいことも全部飲み込み、それでも堂々と建っている。
そういえば例の友人と遊ばなくなったのもこの頃である。
クラスが違って会う機会も減り、会ってもそのうち気まずくなっていった。
高校も別になり、私と友人との間の時間は止まってしまった。
でも思い出の中の友人はいつも綺麗な笑顔でこちらを見ている。
メールをすれば「会いたいね」と言葉を交わすが、本当はあまり会いたくなかった。
もし今会って、思い出の中の彼女を壊されるのが堪らなく嫌だったのだ。
もし会って、上手く話せなかったら、彼女が変わっていたら。
胸の奥がちくりと音をたてた。
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