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しばらくして
疲れたのか、赤髪雷少年は頭を抱えて教室の隅に引き込もってしまった。それに引き替え、鬼蓄金髪少年が勝ち誇った顔をして相手を見下していた。赤髪は、鬼蓄による言葉攻めにより完敗だった。
「あ、そうや。今から図書室よらへん?」
あまりにも唐突に言うものだから、赤髪雷少年は引き込もる事を忘れたかのように、立ち上がり埃を払う。詳しく言えば、彼自身日常茶飯事な言葉攻めには慣れっこだったのだ。
「は、なんで」
「今から宿題しようや」
「……え……」
「だってまだ残ってるやろ、宿題♪ 頑張ろうや、雷くん!」
「いや、俺疲れてるし帰りた――」
「─―あ、来なかったら今日は雷くん、お外で寝泊まりな?」
にっこり笑ってまとめた荷物を持って歩き出す鬼蓄金髪少年に今日も逆らえない赤髪雷少年は仕方なくあるきだす。本来、鍵がもう一つちゃんと用意されていることに未だ理解していない可哀想な赤髪雷少年であった。
―――‐‐‐‐
ブロロロとなり響くバスの騒音。そのバスがなくなった後に、あの某駅前広場でさ迷っていた少年か少女かわからない、あの子がいた。相変わらずの身なりで、勢いよく踏み出し、大荷物を小柄な体で担ぎ持っていく。
茶色い髪の毛は男にしては少し長い。だが女にしては胸が平すぎる。顔は童顔でやはり、女顔に近い。身長は約150cmちょっとしかないだろう。
ようやく着いた校門に、表札に書かれている文字を確認する。間違いない、青種学園だ。
ちょうど一時前。
あの図書室の二人も帰る所らしく、図書館棟の前で二人が立っている。赤髪雷少年が靴をはくのを待っているらしい。
それは、校門にいる“あの子”にもよく見えていた。
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