Act,01 少女

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「……あのさ」 頭をあげる。少年二人は目の前の少年の豹変ぶりに少々驚いている。 目の前の“あの子”はにっこり笑っているものの、目を凝らしてよく見れば──いや、凝らさなくともよく見える──後ろの方に魔王様が君臨していらっしゃるのだ。 「誰が彼の子孫だって? 誰があいつの名前を発していいと言った?」 「えと、いや、あの……」 「これから先、僕の前でその言葉を発してみろ、今すぐ殺してあげよう」 クスリと笑っているはずの顔に明るい光などなく、二人は頷くしかなかった。 “あの子”の父は彼等がいうように、黒関 進という人物だ。彼は今かなり売れている俳優である。少し前にハリウッドデビューを果たし、瞬くまに日本中、いや世界中にファンをいっぱい増やした。そんな彼の日常は世界中の誰もがしりたいのは山々だが未だ突き止められた事はなかった。 そして今回。 黒関 進は、子供を、親友が理事長として働く学校へ編入したのだ。 その事実は理事長と、今日迎えに来てくれるはずの空さんだけが知っているはずなのだが…… いくつか疑問は残るも一応口止めは出来た。“あの子”はふぅと安堵の溜め息をついて、ヤンキー二人を見て内心──別に都会のヤンキーさんは怖くないんだ──と勘違いしていたのは、また、別の話である。 「……けど本間に男か、あんた?」 「間違いなく男だよ、失礼しちゃうな」 ぶぅっと頬を膨らます“あの子”に、金髪赤髪少年等はますます、女にしか見えなかった。 「まぁ、空に会いたいんやろ? 寮まで連れてってやろうや、な? 雷♪」 「え、いや、それはいいけど――」 「─―はい、重かったやろ? 雷君が全部もってあげるやって」 「いや、待て、てめぇ勝手に─―」 「―─あ、持たなかったら、ホモ疑惑を学校中の掲示板に牙白 雷はホモ─―」 「─―わかった!! わかったから、変な噂は流すなっ!!」
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