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少々半泣き状態の赤髪雷少年に少し同情した“あの子”は雷の肩をポンポンと叩く。
「ごめん、雷くん。僕、これぐらい持つ、ってか、初対面の人にそんなに優しくしてもらう迷惑な事はしたくないから」
にこりと笑った“あの子”は、雷少年のもつ荷物を一つだけ持ち、雷少年に笑いかけた。
「ぉ、おぉ、ありがと」
「ちっ、おもろくないなぁ」
「そういう事言わないでよ。えっと……君の名前は?」
「ん? 俺か? 俺は天才少年修馬様やっ!」
変人さがさっきからヒートアップしているのは気のせいだろう。“あの子”はふいっと鬼蓄金髪少年から赤髪雷に目を移した。
「……えっと、雷君、彼の本名は?」
「あぁ、そいつはきざ─―」
「――いゃぁぁっ! 無視いやや!」
「じゃぁまともに教えてくれます?」
呆れ顔の“あの子”に、自称:天才少年修馬様(金髪少年)は、にっこり笑いかけ自己紹介をした。
「俺は木崎 修馬や! よろしゅうな。んで、こっちは、牙白 雷。俺等どっちも空と同じクラスやし、同じ学年やで」
「まぁ、さっきから聞いてたらおかしいとは思ってたけど、空さんの知り合いだから、それだけ知ってたんだね。改めて、僕は黒関 那智。よろしくね」
差し出した手を、三人で握りあった。
荷物を持ちとりあえず二人が案内してくれる方へついていった。
――――――
――――
数分後
着いた場所は何とも校舎と同じくして大きいものだった。
「マンション……? ねぇ、なんか間違ってない? さすがに寮をマンションにするのはどうかと……」
「今更だろ。うちの学校は何もかも広いのは、見ててわかっただろ。やっぱりどれもこれも桁違いになってくるんだ」
「ふぅん……ってことは、大浴場とかなけりゃ部屋にシャワーやらついてる?」
「必ず一部屋一つバスルームついてる」
「そうなんだー」
那智が一安心をするのも束の間、那智がマンション:寮を見上げていると、なぜか急に視界が暗くなった。それも自分のところだけである。
――後ろに誰かいる――
那智は即座にそこから立ち退く。
目の前にはやたら身長の大きい人が立っていた。別にこれといった特徴は無かったが、やたら鋭くて細い目が印象にのこった。
「反応いいお嬢さんだ。どこで拾ってきたんだ? 木崎」
「……関係ないやろう、先輩。それにその子、男やよ」
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