Act,01 少女

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先程の少年少女かわからない、背の低い子どもが乗り込んだバスは青種学園まで三十分ほどでつく。青種学園は敷地を多く要するため少し田舎にあり、なんと言っても全寮制なことも一つの原因で、かなり広かった。 同時刻、青種学園敷地内。 校門から見て目の前には大きな中庭のような物があり、その先には煉瓦つくりの幼稚棟・小学棟・中学棟・高校棟の4つが左から右へ並び、左からだんだん大きくなっている。 その一番右端にある一番でかい高校棟の一角。 「あっつー。死ぬ」 「本間やー。休みもクーラーつけてくれたらえぇやん……」 二人の声が聞こえる。片方は、やけに透き通っているくせに低い声。片方は少し棘のある声だ。 二階の一番手前の教室。そこだけがドアを開けっ放しにし、電気もつけていた。また、声が聞こえてきた。 「てか、てめぇはずっと中だろー? 俺なんかずっと外で野郎共の世話係だぜ?」 前者、あのやけに透き通っているのに低い声である。呆れた様子の声で、一緒に聞こえてくるのはうちわであおぐパタパタという音だ。 「あほかぁー、空はわかってへんのよ、室内の蒸し暑さを」 後者の少し棘のある声だ。こちらは関西人らしい。こちらも同じくうちわであおいでいる。教室の表札には1-Aとある。高校一年生であるらしい。階にはこの二人以外の生徒は見当たらない。二人の声だけが響きわたる。 「まぁ、明日から休みなのが何よりもの救いだよなー」 前者が喋った。机に前のめりに突っ伏している。やけに黒い髪は短く、汗で少々濡れていた。その黒い斜めがけされた前髪に見え隠れする目は大きく空色をしていた。透き通った晴れわたった空のような色だ。 彼は片手に持つペットボトルの中が、無いのを再確認するためペットボトルを傾けた。 「本間やわ。ってかお前も無いんか、液体。全部飲んだろうかおもたのに……」 その動作を見て舌打ちをする、もう一人の生徒、後者だ。 関西弁を巧みに使うのはきっと関西人だからなのだろう。少し長めの金髪に白い肌。タンクトップからつき出た腕は白い肌からは考えられないような筋肉がついている。顔は面長で眼は少し釣り目で茶色をしている。あまりの暑さにこちらものびていた。
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