Act,01 少女

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「あたりめぇだろ。この暑さじゃ何本あったって足りねぇよ、鬼蓄さん」 「鬼蓄やなんて、ただ、空のものは俺の物やし」 「愛の言葉は雷にだけにしろよー、浮気者」 「本命は空だけやって」 「ホモにはなりたくない」 「えー、俺、こんなけ、空を愛してんのにー。明日からの三日間の休みは空と寝ようとおもてたんやで?」 「はいはい、俺は君の浮気相手にはなりたくありませーん」 「じゃ、妻を待つしかない……って、空」 「ん? どうかしたか?」 「重要な事忘れてへん? 明日から休み……ってことは、編入―」 「―あぁぁぁぁ!!」 いきなり立ち上がる前者・空と呼ばれる少年。空と呼ばれる少年は急いでその場に散らばっていた自分の荷物を片付け始めた。 「うわぁぁぁぁ! 今何時!」 「叫んでも時間は戻らへんでー、空。今は十一時や。待ち合わせは一時やろ? まだ時間はあるある」 笑いながら言う後者。ただ焦る空と呼ばれる少年を楽しむように見る後者は置いてあるノートを、手渡した。 「一番重要なものやろ、これ」 「わかってらぁ! とりあえず雷はてめぇに任すからな! 俺はとりあえず部屋掃除!」 渡されたノートを宝物の様に言い、エナメルの鞄の奥底に入れる。空と呼ばれる少年にとって、それは命と変わらないぐらい大切なものだった。 「けど大体片付いてなかったっけ?」 「いやいや、まだまだ残ってる、大事なものがさ。今のままじゃ、進ちゃんの子供と言えども退学届け書かせる事態になりかねねぇんだ」 「そりゃ大変や。頑張り~、雷のお世話はちゃんとしといたる!」 「あ、ほどほどにな……鬼蓄」 「いややわ、俺も鬼じゃないし、ひどくはしぃへんって!」 その不気味な笑いにただ苦笑する空と呼(略)少年は自分の荷物を持ってその教室から急いで出ていった。 変わって鬼蓄少年は相変わらず椅子にだらんともたれかかり、天井を見上げうちわをあおいだ。天井の白い所に写る黒い斑点ぼやける。目に汗の水が嫌というほどはいってくる。別に飲めるはずもない液体がどうも腹が立つ。 「……まだなんか、あの糞雷め。本妻と言えど、キレんぞ……」 しまいにはうちわをおってしまった。
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