グラデーションタイム

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冬のカフェでアイスコーヒーを飲む私。 グラスの中の氷が私に話し掛ける。 「寒くないの?」 私はグラスを覗いて言う。 「寒くないよ。お店の中はぽかぽか。暑いくらいよ。」 「そう。」 と言うと氷はミルクで濁ったアイスコーヒーの中を遊泳しクルッと一回転した。 私がストローでかき回すと氷はきゃっきゃっ言いながら泳ぐ。 ずずっと言う音をたてアイスコーヒーを私が飲み干そうとすると氷は 「待ってまって!もう少し泳ぎたいよ」と言った。 「じゃあお水を入れてあげる。それでいい?」 「うん。」 グラスの半分位まで水を入れた。 「ありがとう」 と言い、次に氷は、見ててね、と言うと水の中に潜り何かを唱えた。 氷が水から出て来たと同時に水は緑色に変わった。 「お礼だよ。」 と言うと氷はシュワシュワと音をたてるメロンソーダの中で先程と同じように泳ぎはじめた。 私がメロンソーダを飲み干す頃には氷はとけてしまっていた。
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