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俺は、剛田安兵衛(ごうだ やすべぇ)。今時こんな古くさい名前のやつがおるかっつーの。
ところがどっこい、ここにちゃんと存在しとるし。
ガキの頃、喘息もちで、ひ弱だった俺は、病気で学校休みがちなくせに、武士みたいな強そうな名前が恥ずかしがった。
それで、中学に入ると剣道と空手を始めた。まさに武士。
不思議なことに、いつも真っ青で、弱っちぃかった、俺のうらなり顔は、精悍な顔立ちになった。
さすが日本武道。
体もみるみる成長し、中2で180センチと、学校で一番の大男になった。
ある日、上級生にからまれた。なんのことだか、俺にはさっぱり分からんかったけど、やっぱ俺がデカくてえらそうに見えたんじゃろ。
体はデカくても、心はひ弱なのになぁ~。
勝負は1分でついた。
先輩達8人みんなひっくりかえってた。
体が勝手に動いた。
恐るべし、極真空手。
その年、全中で空手チャンピオンになった。
上級生からも下級生からも「番長」と呼ばれたけど、俺は不良なんかじゃない。
学級委員もやれば、生徒会長もやる優等生。
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