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日が沈むのも早くなった1月の夜、冬休みも終ろうとしているのに、高校の課題を一つも済ませていない俺(東城春樹、トウジョウハルキ)は、いつも遊んでいる「江藤祐矢(えとうゆうや)」と、他愛もない話をしながらマクドナルドで夕食をとっていた。
こうやって夕飯を裕矢と話ながら外ですませる生活は中学を卒業してからの2年間毎日繰り返してる。
もちろん家に帰れば親はいる、特別仲が悪いわけでも無い。
同じ部屋にいれば普通に話もするし、本当にたまにではあるが親父なんかとは一緒に出かけたりもする。
ただ、裕矢と食事をしている方が楽しいから続けているだけだ。
「おや?江藤に東城じゃないか?」
低い男の声に振り替えれば近所に住む小学校教師の「紀保(キオ)」が持ち帰るのか袋をぶら下げて立っていた。
「お、紀保先生」
裕矢は人なつっこい笑みを浮かべる。
紀保は俺達が小さい頃からよく遊んでくれていて、お兄さんの様な存在だ、もちろん俺達が通った小学校の教師として勤務もしていた。
残念ながら担任になったのは5年生の1年間だけだったが、それでも紀保の姿を見付ければ俺達は名前を大声で呼んでよく、「先生をつけなさい!」と、苦笑いを浮かべた紀保に怒られていたっけ。
でも、言い方はいつも優しくて、俺達は構ってもらえるのが嬉しくて卒業式のその日まで一度も先生をつけることは無かった。
裕矢はそれいらい『先生』をつけて呼ぶようになったけど、俺はあの日の一度きりだ。
紀保は裕矢の頭を軽く撫でながら口を開く。
裕矢はそんな紀保の手を掴み「もぅ、ガキじゃないんだから辞めろよ先生」何て言いながらも表情は相変わらずだ。
「何時までも寄り道してないで早く帰れよ?」
昔から変わらない暖かい笑みを向けながら言えば紀保は腕時計で時間を確認して慌ただしく、「急ぐから又な」と、言い放ち腕を振りながら自動ドアをくぐり人混みの中へと消えていった。
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