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体から血が引くのを感じ俺は肩に腕を伸ばす。
そんな俺の顔を覗き込むように裕矢の顔が俺の視界に入る。
「ん、真面目に?」
裕矢の馬鹿にしたような表情に俺は妙なプライドをかざす。
「馬鹿っ、演技だ!」
言いながら俺は辺りを見る。
暗闇ばかりで裕矢以外の人物は見当たらない。
「あり得ねぇよ?お化けとか流行んねぇし」
裕矢は俺の肩を叩きながら笑い出す。
「だから、ちげぇって!」
勘違いだった事を確信して俺は何とか誤魔化そうと試みる。
そんな俺の考えを理解して、笑いを必死にこらえながら裕矢は口を開く。
「なぁ、春樹明日俺の家に泊まりにこねぇ?親いねぇの酒でもかって朝まで騒ごうや?」
裕矢の親はよく家を空けるんで、俺達はその度に集まっては安い酒を買って朝まで騒いだりしていた。
学校がある日なら別の友達も誘い次の日は勿論さぼったりしていた。
俺はいつも急な裕矢の誘いに当たり前の様にのる。
今回も例外は無い。
「あぁ、明日なOKその前にゲーセンいかねぇ?」
俺の提案に裕矢は目を輝かせ直ぐに了解する。
俺達は格ゲーにはまっている、でも普通にプレイを楽しむ訳じゃなく、誰かのボスクリアを邪魔するのが楽しいだけだ。
たまに喧嘩にまで発展すれこともあるが、自分でいうのも何だけど正直強い。
スリルがいいのだ。
「よし!又明日な春樹っ、帰り道気おつけろよ~」
ニヤニヤと笑いながら裕矢は言い終えれば手を振って電灯の少ない農道へと向かう。
「お前もなっ!」
半場ヤケクソに叫べば口元を押さえ解りやすく裕矢は笑った。
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