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夕日が沈み始めた農道の狭い一本道を大量に買い込んだ重い酒を二人で分け運ぶ。
「指が冷えていてぇ」
言いながらも裕矢は何だが嬉しそうだった。
袋の中で缶同士がぶつかり音を立てる。
冬のこの季節の畑は寂しい、土なんかは乾燥して割れ、無駄に生えた草は枯れてあれ放題、辺りに立つ木も枯れてそれには又枯れたツルが無数にからみついていた。
雪がつもっているわけでもなく、ただ茶色い景色が広がっていた。
夕日に照らされ更に辺りは殆ど変わらない色だけを見せていた。
「春樹帰ったらさ…」
俺の方を振り向いた裕矢は言葉を途中で止め代わりにの表情がこわばる。
同時に、袋を地面へと落とす、地面にぶつかった缶が鈍い音を辺りに響かせた。
「おぃ」
拾おうと伸ばした腕は裕矢のに手に捕まれ凄い力で引かれ、そのまま走り出した。
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