34人が本棚に入れています
本棚に追加
2008年8月30日
太陽が照りつけ、まだ熱さの退かない夏の下旬。
熱を発するコンクリートの上を汗を流しながら歩く。
大通りを抜けた帰り道。
人通りの少ない河川敷沿いの道を、僕は彼女と歩いている。
並ぶ道沿いの並木の木陰を選んで歩きながら、汗をぬぐう。
あの頃と違って、手はごつごつしているし、肌も茶色ばんで綺麗では無くなってしまった。
顔や首のしわも増えた。
白髪は確実に黒髪を侵食しつつある。
河原で遊ぶ子どもの声が聞こえる。
僕はあの日、君と歩いて、君と手を繋いだ。
乾いたように晴れた空は、胸を焦がす。
空の青さは僕を気怠くさせる。
夏は嫌いだ。
ぬるい風の中に、君がかすかに笑った声がした。
思わず隣りを見る。
僕の腕には白い壺。
僕は彼女と歩いている。
最初のコメントを投稿しよう!