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あいつらは遊びよっとやけえ、俺も遊んでよかはずやん。
あいつらだって、勉強はしとらんとに。
自分の考えのままに行動するのは母親ゆずり。
僕は、そうやん、そうやん、と頷きながら勢いをつけて起き上がった。
遊びの事を考えるだけで、気持ちの変化は大きかった。
勉強で、だらけきっていた身体はやる気で満ちてくる。
それを実感してまた、自分の素晴らしい思い付きに満足した。
そしてその時の僕は、何でもやれるような大きな気持ちになっていた。
そう、母親の存在など忘れていたのだ。
「幸太郎?どこさ行くつもり?」
母親の声が背後からして、僕はびくっと体を揺らして振り向いた。
決して怒っているように聞こえず、むしろ優しげなこの声に僕は慌てる。
母親の怒りはよく知っている。
経験上の知識だ。
この声は僕を脅している時の声。
宿題をしないと母親は怒る。
だけど僕はしたくない。
今抜け出したら後が絶対に恐い。
けど、ここにいたら宿題をやらされる。
僕の中で葛藤がおこり、しばし母親を見つめたまま固まる。
「幸太郎?」
母親の声で心で考えるより体が反応した。
身をひるがえして、開放された縁側から外へ飛び出す。
「すまん、母ちゃん!!
遊んでくるけん!!」
母親の怒鳴った声が聞こえた気がしたが、何か言われる前に僕はなるべく遠くに行こうとした。
後が恐いが勉強なんてあと1秒もやっていられない。
素足のまま僕は自由へと向かって走った。
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