非日常の開幕

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「いきなり本気だすなよ!?」 「手加減している。それに本気をだしたら五秒でお前は負ける」 「んな!?やってみなくちゃわかんねぇだろ!」  和輝が正面から突っ込んでくる。隙だらけにしか見えない動き。 「仕方ない…。本気を見せてやろう…」  和輝の斬撃を裁いていく。 「一……」  和輝を押し返す。そして駆ける。 「二、三……」  怒濤の攻め。和輝は何とか防いでいるが、俺の斬撃を全て防ぐことは和輝には不可能。 「うわっ!?」 「四、五!」  竹刀を弾き、和輝の眼前には俺の竹刀の切っ先。 「どうだ?俺の本気は」 「強すぎるだろ!?じっちゃんと稽古してる感覚だったぞ!?」  やはり和輝も同じ感覚だったか…。結希も言ってたな、もっともアイツは三秒だったが。しかし、結希に本気をだすとは俺も大人気ないな…。 「また腕を上げたようじゃのう、鏡哉」 「お爺さん、見て居られたのですか」 「うむ。和輝!」  お爺さんは和輝を呼んだ。 「なに?じっちゃん」 「こっちへ来い!直々に鍛えてやるわい!」  和輝もお気の毒にな。俺の本気を受けた後に、お爺さんとの稽古とは。 「遅れてごめんなさい!」  結希が到着する。確かに朝稽古の時間からは二十分ほど過ぎているな。しかし…
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