非日常の開幕

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「結希!待っていたぞ!」  キョウ兄が抱き着いてくる。 「キョウ兄!?朝から抱擁は勘弁して!」 「ははは、別に良いじゃないか」  駄目だ。キョウ兄のスイッチが入ってるみたいだ。僕には止めようは…いや、誰にも止められない…多分…。  五分経過。 「むん!」 「うわっ!?」  カズ兄が尻餅をついた。じっちゃんに突き飛ばされたんだ。 「鏡哉!さぼってないで結希の稽古をやってやれ!」 「は、はい!」  ようやく抱擁から開放された…。慣れたからいいけど、いつもこんなのじゃ、疲れてしまう。 「さ、道着に着替えてきなさい」 「はーい」  僕はキョウ兄に促され、道着のある更衣室へ向かった。  現状を考えて、女性用更衣室へ。女の子になってしまっているのだから。 「一応、言っておくけど…キョウ兄、覗かないでね」 「当たり前だ。覗かないから安心しろ」  とりあえず、キョウ兄には言っておく。カズ兄はじっちゃんと稽古を続けているみたいだから。  なんで言ったかは、あれだけシスコン(現状的に言えばそうなるのかな)なら、成長を確かめるとか言って覗きかねないから。キョウ兄なら先ずないと思うけど。カズ兄も。
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