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いつからだろう。今の私たちをあの日々へと繋いでいた想いが、頬に受ける風と曖昧な記憶だけを残して消えてしまったのは。
舞い上がる風につられた時間。ゆっくり、ゆっくりと流れては、消えて。私の上で懐かしい匂いと新しい土埃を起こしていた。
思わず目を細めて手で顔を覆う。そのせいで色を失った。
――空が…‥
首を反らす。
――…青い?
あの日々には気付けなかった。当たり前だったはずの空の、高さと青さ。あの時は、いつも下とか前を向いてたな。なんて考えさせられる。
「夢は見るだけのものじゃない」
遠い声。
思わず振り返る。誰もいない。
周りを見渡す。しかし、それでも校庭には誰もいなかった。
最後に見たときと外見が変わってしまった校舎と、広い校庭に佇む私以外は。
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