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『それにしても…』
小さく息を吐いて、『つくづく人気者なヤツ。』と思い、私は先生の方を見た。
HRも終わったようで、みんな席を離れ、教室を出て行く。
何人かの女子が、先生を囲んでキャイキャイ話しをしていた。
「お前ら、早く帰れ~」
笑いながら、囲んでいる生徒達にそう言って、先生は私の方を見た。
ちょうど、ぼ~っと囲まれている先生を見ていた私と、目が合った。
目があって、ドキっとした私を見て、先生は言った。
「今井~お前、携帯落としてない?」
『!!!』
慌てて、カバンの中を探したけど見つからない。
何人かの生徒は、
「ぇー?なんで、シバちゃんが、今井さんの携帯だって知ってるの?」
なんて、先生に問いただしている。
そんな生徒達を横目に、私の方を見たまま大きな声で、
「生徒手帳と一緒に落ちてて、俺が拾ったんだけど?」
「違う?」そう言いながら、先生は私の答えを待っているようだった。
カバンの中から、探している携帯の代わりに、生徒手帳が出てきた。
『私の携帯じゃないのかも?』
けど、携帯が…ない。。。
ちょっと考えて、今朝のコトを思い出した。
『あっ。あの時?』
…思い出して、急いで顔をあげ、
「あたしのだと思いますっ!」
私にしては、めずらしく必死に言ってしまった。
みんなが、こっちを見てる。
そんな私の様子を見て、先生はフッと笑い、
「じゃ、準備室に取りにきてくれ。」
そう言ったんだ。
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