愛妻

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も花が好きだったなと思い、ふと振り返って病院の庭を見る。  すると、そこには紛れもなくチハルが手を振って立っていた。笑顔でトシユキの退院していく姿を見送っていた。 「チハル、有り難う。」  トシユキの心の中で、チハルへの限りない感謝の気持ちが木霊(こだま)していた。  本来なら、思い出の汀でのみ会える筈の亡き妻が、今こうして退院していく自分へ手を振ってくれ
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