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「わ!」
私は思わず、叫び声を上げた。
紳士の出したスーツケースには、刑事ドラマで見るような感じで、一万円札がぎっしりと詰まっていたのだ。
「一億円で、いかがでしょうか」
一億円。
目も眩むような金額だ。
うまい棒なら、1000万本も買える。
繋げたら、余裕でオゾン層を突破するだろう。
もちろん、そんなものには使わないが。
私は紳士に向かって微笑むと、
「わかりました」
と返事した。
「ありがとうございます」
紳士は深々と頭を下げると、スーツケースごと私の方に差し出した。
私が子豚を紳士に明け渡すべく捕まえたとき、子豚は私たちのやりとりを全く気にする様子もなく、ただブヒブヒと鼻を鳴らしていた。
・・・
「それでは、さようなら」
紳士は子豚を脇に抱えると、にこやかに手を振って歩き去った。
残されたのは、紳士との取引で得た一億円と、800万円。
これだけの大金があると、自然と口元がほころんできてしまうものだ。
「オーッホッホッホ!!」
私は一人不気味な高笑いをして、早速、不動産会社に電話をかけるべく、広告を探ったのだった。
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