「食べるな危険」

1/1
前へ
/19ページ
次へ

「食べるな危険」

わたしが学校から帰ると、冷蔵庫の脇に、大きなまんじゅうが一つあった。 小腹が空いていたのでそれを食べようとしたら、貼り紙があることに気が付いた。 「これはメタボまんじゅう。食べたら太る。食べるな」 お母さんの軽い冗談だと思って、わたしは貼り紙をどかし、まんじゅうを食べた。 もちろん何事もなく、普通に美味しいまんじゅう(つぶあん)だった。 ・・・ 翌日。わたしが学校から帰ると、昨日と同じように大きなまんじゅうが冷蔵庫の脇にあった。 「これはメタボまんじゅう。食べたら太る。食べるな」 の貼り紙も昨日と変わらずあったが、わたしは今日もその貼り紙を無視して、まんじゅうを食べた。 ・・・ 翌日。わたしが学校から帰ると、予想通りまんじゅうがあった。 「これはメタボまんじゅう。食べたら太る。食べるな」 この貼り紙も予想の内だ。 わたしはまたしても貼り紙を無視して、まんじゅうにかぶりついた。 ・・・ 翌日もその翌日も、やはり、まんじゅうは必ず冷蔵庫の脇にあった。 さらには、日曜日にもまんじゅうは置いてあったので、私は毎日それを食べることになった。 ・・・ 一ヶ月後。 今日は、身体検査の日だ。 わたしは体重計に乗ったとき、つい悲鳴を上げてしまった。 なんと、一ヶ月前と比べて、体重が5kgも増えてしまっていたのだった。
/19ページ

最初のコメントを投稿しよう!

13人が本棚に入れています
本棚に追加